【太陽光発電の専門メディア(PVeye Vol.14)5月号】に特集されたエステート24の代表取締役CEOである秋田新太郎氏の記事を紹介します。
住宅用太陽光発電システムの販売・施工で急成長を遂げるエステート24ホールディングス。既築住宅への訪販を端緒に業績を伸ばす一方、独自の保証サービスを付与したブランド化戦略を打ち出す。ハウスビルダーと提携して新築住宅分野への商機を得ると、一気に事業を拡大。4期目となる12年12月期の売上高は対前期比ほぼ倍増の146億円という異例の躍進ぶりを見せた。その成長の源泉に迫る。
既築から新築まで独自サービスで業容拡大
エステート24ホールディングスの飽くなき大望
新築住宅、初期負担ゼロ「次は新築住宅だ。太陽光発電の設置費用を住宅ローンに組み込むことができれば、お客様の初期負担は事実上ゼロになる。このスキームを是が非でも確立させる」。
ちょうど1年前、晩春の頃だった。代表取締役CEOの秋田新太郎は定例の経営会議でこう発言した。これまでコンシューマ向けの営業経験しかなかったため、ハウスビルダーとの連携が伴う新境地への展開には、不安がないわけではなかった。しかし、それ以上の自信があった。12年7月、その自信は確信へと変わり、構想は現実のものとなる。ハウスビルダー各社が、秋田氏のこの提案にすんなりと応じたのだ。「貴社に弊社の人材を出向させ、商材を提供いたします。一切の経費は弊社が負担しますので、販売手数料だけ受け取ってください」。依然として住宅不況が続くものの、3・11以降、太陽光発電システムを搭載した“太陽光住宅”の売れ行きは好調だった。太陽光発電システムは、もはや住宅を売るには欠くことのできない“武器”となっていた。しかも秋田氏から持ちかけられた取引は好条件。ハウスビルダーにとって、断る理由が見当たらなかった。こうしてエステート24HDは、上場企業のパワービルダーをはじめ、大手住宅メーカー7社と矢継ぎ早に業務提携を結び、新築住宅分野への足がかりを得た。ここで秋田氏はかねてより温めていた“初期負担ゼロ”のスキームをハウスビルダーに提唱する。「返済期間35年の住宅ローンのなかに、太陽光発電システムの設置費用を組み込むことができれば、住宅を購入する顧客は初期負担のない形で太陽光発電を据え付けることができます。新築住宅には太陽光発電が標準搭載されるという“新たな概念”を我々の手で創り上げるのです」。ただ、これには金融機関の協力が不可欠だ。そこで利害が一致するハウスビルダーとともに秋田氏は金融機関を説得。長い交渉の末、ついにこのスキームを確立させた。以後、新築住宅向けの太陽光発電システムの売上は右肩上がりで上昇。現在同社の月商は、既築向けの直販と量販店での店頭販売が4億円、代理店ルートが5億円に対し、新築向けはすでに6億円に達している。
功を奏したブランド化戦略顧客の購入メリットに着眼し、独自のサービスを編み出し他社との差別化を図る。同社の成長の原動力であるが、それは既築住宅事業にも遺憾なく発揮された。最たるものが、大手損害保険会社と提携して商品化した『ワールドソーラーワランティ(WSW)』。製品の瑕疵担保責任としてメーカーが提供する『25年のモジュール出力保証』と『10年の太陽光発電システム保証』に、自然災害補償と工事保証を加えた独自の総合保証サービスだ。具体的には、自然災害による損壊に対して10年間補償するほか、太陽光発電システムの施工による屋根瓦の破損や雨漏りによる家財の損傷、モジュールの落下などへの損害を15年間保証するというもの。補償額は1世帯あたり最大5億円である。WSWの実施に至った経緯を、秋田氏はこう語る。「以前当社が販売していたシステムがネット上でさらに安く売られており、当社にクレームが入ったことがあった。単にメーカーから仕入れた商品を販売するというだけでは限界があると思い、独自のサービスを付与した自社ブランド品を開発したのです」。「では具体的にどのようなサービスがよいか。お客様と接していますと、工事による様々なトラブルに不安を持たれていらっしゃる方が多かった。太陽光の利点は理解されているのですが、起こり得るトラブルをどう保証してくれるのかと。そこでこの総合保証サービスを考えたのです」。補償は大手損害保険会社が担うが、客先でのトラブルには24時間体制で同社が対応する。「24時間、家のことは面倒をみさせていただく」(秋田氏)。社名“エステート24ホールディングス”にもその思いを滲ませた。「リレーション市場は計り知れません。他社にない付加価値サービスを提供し、お客様に商品をお売りすることができれば、そのお客様が他の関連商材をお求めの際は、また当社を選んでいただける可能性が高い。今後は、蓄電池やHEMS(ホームエネルギーマネージメント)、さらに電気自動車なども視野に、新商品を販売していければと思っています」。つまり、独自のサービスで顧客を囲い込み、顧客と良好な関係を築いて、長期間取引を継続しようというリレーションシップマーケティングである。これこそが同社のビジネスプランであり、成長・拡大の方程式なのだ。同社は、09年1月に設立された。当初は電気調理器や電気給湯器を販売していたが、3・11を機に太陽光発電システムに大きく舵を切る。以後、韓・ハンファや中・トリナソーラー、加・カナディアンソーラーなどの海外製モジュールと、国内製パワーコンディショナを組み込んだシステムを仕入れ、訪販を中心に業績を伸ばす。11年12月期の売上高は対前期比4.8倍の73億円、12年はこれを146億円へと倍増させ、今期は300億円超えを目指している。その同社がいま力を入れているのが太陽光発電システムの全国フランチャイズ展開だ。「当社と理念を共有していただけるパートナーを探しています。当社からは商材と販売ノウハウを提供させていただきます。ともに成長できればと考えています」。さらに、公共・産業用へビジネス領域を拡げる目的で、新会社『グローバルエナジーホールディングス』を立ち上げた。主に工場や産業施設の屋根などへ、太陽光発電システムの設置を提案していく。総勢600人を乗せた船艇はまだ出航したばかりである。舵を切るのは齢26の秋田氏、可能性は未知数だ。飽くなき大望はどこに向かうか、目が離せなくなってきた。
エステート24の代表取締役CEOである
秋田新太郎氏の【太陽光発電の専門メディア(PVeye Vol.14)5月号】の特集記事、すばらしいですね